タチバナコーラ

長崎のローカルベビーコーラ『タチバナコーラ』です。リターナブル瓶等のレトロなドリンクを集められているHIKARIさん(Twitter ID : @old_drink)より頂戴致しました。この場で改めてお礼申し上げます。大体Twitterでレビュー文章を組み立てているため、その字数制限の都合上でいつも足早な紹介をしていますが、今回はしっかりレビューしたいと思います。

現在は缶やペットボトル等が主流となり、瓶飲料の容器別生産割合は1%強程しかありませんが、かつて瓶飲料が清涼飲料産業の中心であった時代がありました。現在は瓶容器も使い捨てタイプのものが多いですが、当時はリターナブル瓶と呼ばれるリユース容器が活躍していました。お客はお店で瓶飲料を購入し消費し、再びお店に空容器を持って行くと、瓶代分が返金されるというシステムです。空の瓶は洗浄され、また飲料を詰められます。


勿論コーラも例に漏れず、現在でもコカコーラ、ペプシコーラはリターナブル瓶を採用しています。ただしこれらは飲食店に卸す業務用という目的が強く、昔のように消費者が直接購入する機会は僅少です。まだコカコーラの瓶の自販機は比較的見かけますが、ペプシコーラの瓶は皆さんも購入できる機会はより少ないのでは無いでしょうか。


さて、1957年にコカコーラが鳴り物入りで日本に上陸し爆発的に普及する中で、様々なコーラが日本でも誕生しました。その中で「ベビーコーラ」というジャンルが確立していきました。大手コーラよりも容量が少なく、価格が安く、駄菓子屋などで販売され、子供が小遣いで簡単に買えるようになっていました。製造は地場の飲料メーカーが行う場合が多いです。そんなベビーコーラもローカル飲料メーカー及び駄菓子屋の衰退、大手コーラの廉価化、子供の懐事情の変化等により衰退していきました。現在ベビーコーラで有名なのは「だがし夢や」のものでしょうか。

時代の流れでリターナブル瓶もベビーコーラも消えていったわけですが、こちらの『タチバナコーラ』はなんと現在では本当に珍しくなったリターナブル瓶のベビーコーラです。製造元の長崎県の荒木商店はネットで検索をかけてもサイト等はヒットしないのですが、全清飲の組合会員傘下企業一覧に掲載されていました。王冠を開けた際に立ち上がる香りはまさしく駄菓子屋のコーラドリンクです。しかし一口飲んでみて非常に驚いたのが、ベビーコーラにありがちなコーラ味のチープさが無く(わざとらしいコーラ味も好きですよ)、やや酸味の強い瑞々しい柑橘の香りとコーラ感が複雑な味わいで、まるでフルボディの様な飲みごたえであったということです。更にタチバナコーラには天然甘味料のステビアが使用されています。このステビアは後味に尾を引く独特の風味があり、これをマスキングするのが非常に大変だそうですが、タチバナコーラは全くといっていい程気にならず、「本当にステビア入ってるの!?」と思いました。長崎の地域限定でひっそりと、全国レベルのとんでもないコーラが存在します。

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