




『Gaza Cola(ガザ・コーラ)』です。2024年に誕生したコーラで、英国ロンドンを拠点とする「COLA GAZA LTD」によって展開されています。パレスチナ人の方によって立ち上げられたブランドで、缶にも「PALESTINIAN OWNED」と大きく記載されています。
一方で、商品そのものがガザやパレスチナで製造されているわけではありません。今回入手した缶には「Made in the EU for COLA GAZA LTD」と記載されており、英国の企業向けにEU域内で製造されています。そのため、「パレスチナ人によって立ち上げられたブランドではあるものの、製造・流通面ではヨーロッパの飲料」という、少し珍しい立ち位置の商品です。
まず目を引くのは、その出自をストレートに表現したパッケージです。赤を基調とした250mlのスリム缶には、下部にパレスチナ国旗を思わせる緑・白・黒の配色が大きくあしらわれ、上部にはパレスチナの伝統的なスカーフ「クーフィーヤ」を連想させる幾何学模様が配置されています。中央には「Cola Gaza」とアラビア文字による商品名が描かれ、側面には「PALESTINIAN OWNED」「APARTHEID FREE」「ALL PROFITS TO PALESTINE」といったメッセージも記されています。単に「Gaza」という地名を商品名に使っただけではなく、ブランドの成り立ちそのものをパッケージに表現していることが分かります。
Gaza Colaが誕生した背景には、2023年以降のガザをめぐる紛争があります。現地では住宅や病院など多くの施設が被害を受け、現在も食料や医療、生活環境の面で支援を必要としている人が多く暮らしています。Gaza Colaは、こうしたガザの人々を支援することを目的の一つとしており、ブランド側は利益を現地の病院再建などに充てるとしています。日本でも有志による輸入販売が行われており、一本のコーラを購入することが、ささやかながら現地への支援につながる商品となっています。
原材料は比較的オーソドックスな構成ですが、甘味の設計は少し珍しく、果糖ぶどう糖液糖ではなく砂糖と人工甘味料のスクラロースを併用しています。栄養成分は100mlあたり20kcal、缶1本では約50kcalとなり、一般的なフルシュガータイプのコーラと比較するとかなり低カロリーです。完全に人工甘味料へ置き換えるのではなく、砂糖の味わいを残しながらカロリーを抑えている点が特徴的です。
実際に飲んでみると、この砂糖+スクラロースという組み合わせが味にもよく表れています。飲み始めはコーラらしい爽やかさに加えて、こってりとした砂糖の甘味が感じられますが、後半になると一転してキレが良くなり、飲み終わった後には若干スクラロースらしい甘味が舌に残ります。前半は砂糖入りコーラ、後半は低カロリーコーラのような、不思議な味の移り変わりです。
全体を通してみれば、味わいは比較的あっさりとしたオーソドックスなコーラです。私がこれまで飲んできた中東系のコーラには、香味が強く、全体的にこってりとした商品が多かったため、「Gaza Cola」という名前からは当初そうした方向性を想像していました。しかし実際には英国を主要な販売拠点とし、EU域内で製造されている商品ですので、この軽快で飲みやすい味づくりにも合点がいきます。
『Gaza Cola』は数あるコーラの中でも、「なぜこのコーラが作られたのか」という背景が強く表れた一本です。もちろん一本のコーラだけで遠く離れた地域の状況が大きく変わるわけではありません。それでも、普段なら何気なく手に取る飲み物をきっかけに、世界で今何が起こっているのか、なぜこの商品が生まれたのかについて、少し知る機会になります。
味だけでは語り切れない背景まで含めて、非常に印象に残るコーラでした。
Gaza Cola Global 公式サイト
https://gazacolaglobal.com