「源流コーラ」を訪ねて。水上を巡り、飲みきりボトルに込めた次の一歩を聞く【後編】

源流の町をめぐって――源流コーラが“すぐ飲める一本”になるまで【後編】

前編では、源流コーラを手がけるMINAKAMI CRAFT合同会社のハヤトさん、ちかさんに案内していただき、谷川岳の麓・一ノ倉沢を訪れました。

源流コーラのラベルに描かれた山と水のイメージを、実際の風景の中で確かめるような時間でした。

一ノ倉沢をあとにした私たちは、そのまま水上を少し巡ることにしました。ここからはクラフトコーラの話を少し離れ、地元のお二人に案内していただきながら、水上という町の表情を見ていきます。

1、谷川岳インフォメーションセンター

一ノ倉沢から戻ったあと、まず立ち寄ったのは「谷川岳インフォメーションセンター」でした。

谷川岳インフォメーションセンターは、谷川岳周辺の自然環境を楽しく安全に利用し、あわせて保護していくことを目的に、2021年に開設された施設です。館内では谷川岳の自然や歴史、周辺のトレッキング情報などを知ることができ、谷川岳を訪れる人にとっての案内拠点のような場所になっています。

また、館内では谷川岳をモチーフにしたグッズなども販売されています。そしてここでも、源流コーラを購入することができます。一ノ倉沢の風景を見たあとにこの場所で源流コーラを見つけると、この商品が谷川岳の麓で育っているクラフトコーラなのだと、あらためて感じられました。

2、湯檜曾公園

谷川岳インフォメーションセンターをあとにして、湯檜曽川に沿うように少し車で下り、次に向かったのは「湯檜曽公園」です。

湯檜曽公園は、テニスコートなどのスポーツ施設を備えた公園で、すぐそばには湯檜曽川が流れています。天気がよければ谷川岳を望むこともでき、夏場は川遊びの場所としても親しまれているそうです。

私はこの場所が気に入り、今回の記事のアイキャッチに使用した源流コーラの写真は、この湯檜曽公園で撮影したものです。川の流れと緑の山並みを背景にすると、源流コーラが持つ「山と水の町」のイメージが、とても自然に伝わってきました。

3、カスてラ可助 、外観

続いて案内していただいたのは、水上温泉にあるカステラ専門店「カスてラ可助」さんです。

取材前に私が「水上でおすすめのお土産を教えてほしい」とお願いしていたところ、ハヤトさんとちかさんが連れてきてくださいました。公式サイトでも「水上温泉カステラ専門店」と紹介されているお店です。

大きなピンク色の暖簾が印象的な外観で、店内は清潔でシンプル。プレーンのほか、抹茶や紅茶など複数の味があり、試食しながら選べるのもありがたいところでした。

4、カスてラ可助

実際に食べてみると、一般的なカステラよりも、もっちり・しっとりとした食感が印象的でした。底のザラメ糖の風味も香ばしく、思わず自分用にも買いたくなる味でした。

一本で購入することもできますが、2個入りの小さな箱もあるため、個別に配るお土産としても便利です。複数の人に配りやすい水上土産を探している方にも、ぴったりのお店だと思います。

5、道の駅みなかみ水紀行館

続いて案内していただいたのは、「道の駅みなかみ水紀行館」です。

みなかみ町の物産やお土産を扱う売店、軽食コーナー、水産学習館などを備えた施設で、水上観光の途中に立ち寄りやすい場所です。外観からも観光拠点らしい雰囲気があり、館内には地元の商品が並んでいました。

6、道の駅みなかみ水紀行館内源流コーラシロップ

地元物産を扱う「売店満店横町」を見ていると、さっそく源流コーラのシロップを発見しました。専用のPOPも掲示されており、地元のお土産の一つとしてしっかり紹介されています。前編で聞いた「みなかみの良さを形にしたい」という言葉を思い出すと、こうして地域の売り場に並んでいることにも意味を感じます。

7、道の駅みなかみ水紀行館内源流コーラRTD

さらに冷蔵庫には、すぐに飲めるタイプの源流コーラも並んでいました。シロップは自宅で炭酸水などと割って楽しむお土産として、RTDは旅の途中でそのまま飲める一本として、それぞれ違った役割があります。

同じ源流コーラでも、シロップとRTDが並ぶことで、商品の広がりがよく分かります。水上のお土産として持ち帰ることもでき、その場で喉を潤すこともできる。源流コーラが少しずつ地域の中に根づいていることを感じられる売り場でした。

8、カフェレストラン亜詩麻外観

道の駅みなかみ水紀行館をあとにし、次に向かったのは「カフェレストラン亜詩麻」さんです。

ここでは、源流コーラのRTD、つまりシロップを割る必要がなく、そのまま飲めるボトルタイプの商品について、あらためてお話を伺うことになりました。

なお、カフェレストラン亜詩麻さんそのものについては、以前Yahoo!ニュースエキスパートの記事でも紹介しています。名物の焼きカレーと源流コーラを味わえるお店として、そちらで詳しく書いておりますので、店舗の雰囲気や料理については下記の記事もあわせてご覧ください。

群馬・みなかみで味わうクラフトコーラ『源流コーラ』と名物焼きカレー|カフェレストラン亜詩麻
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/bb340a76cd4df6f008f174a09da7c005352b07b4

本記事では、亜詩麻さんを取材場所としてお借りしながら、源流コーラがシロップからRTDへと展開していった経緯、そしてMINAKAMI CRAFT合同会社としての今後について伺っていきます。

* * *

12、源流コーラRTD
源流コーラRTD

空水:現在は、源流コーラのRTDも販売されていますよね。販売を始めてから、どれくらいになりますか。

ハヤトさん:売り始めてから、だいたい1年くらいになります。ありがたいことに、少しずつ手に取っていただけるようになってきました。

空水:最初から現在のボトリングメーカーさんにお願いしていたのですか。

ハヤトさん:最初は別のところにお願いしていたのですが、少し話がうまく進まない部分がありまして。そこから現在お願いしている、さんべ食品工業株式会社さんに切り替えた形です。

空水:さんべ食品工業さんは島根の会社さんですよね。みなかみからはかなり距離がありますが、やはり小ロットで受けてくれるボトリングメーカーさんは少ないのでしょうか。

ちかさん:そうですね。かなり探しました。関東にもボトリングメーカーさんはあるのですが、基本のロットがかなり大きいところが多かったんです。小規模なクラフトコーラメーカーがお願いするには、なかなか難しい条件のところも多くて。

空水:小規模に始める場合、いきなり大きなロットで作るのはリスクがありますよね。

ハヤトさん:そうなんです。売り切れるかどうかという問題もありますし、純粋に資金面でも難しいです。いろいろ探す中で、西日本の方には小ロットで対応してくださるメーカーさんがいくつかありまして。さんべ食品工業さんも、比較的小規模な案件にも向き合ってくださる雰囲気があり、今お願いしています。

ちかさん:最初の段階でも、こちらの状況に合わせて相談に乗っていただけたので、とてもありがたかったですね。

空水:シロップはみなかみで製造して、それを送ってボトリングしている形ですか。

ハヤトさん:はい。シロップはこちらで製造しています。それを送って、炭酸飲料として仕上げていただいています。

空水:前編でも触れましたが、源流コーラのシロップは、みなかみのりんご果汁でスパイスを煮出しているのが特徴ですよね。一方で、RTDにする場合は炭酸水が必要になります。今は、さすがにみなかみの水をそのまま使うというわけにはいかないですよね。

ハヤトさん:そうですね。水も全部送るとなると、現実的には難しいところがあります。今はボトリングメーカーさんの現地のお水で作っていただいている形です。ただ、それは源流コーラのコンセプトを完全に体現できているかというと、まだ未完成な部分もあると思っています。

9、カフェレストラン亜詩麻さん店内
カフェレストラン亜詩麻さん店内

空水:未完成、ですか。

ハヤトさん:はい。源流コーラとしては、やはり最終的には、みなかみの水を使ったコーラにしたいんです。いずれは自社で炭酸充填の設備を導入して、みなかみの水で作ったRTDを出す。そこまでできて、源流コーラとして一つ完成するのかなと思っています。

空水:なるほど。今のRTDは、理想に向かう途中の形でもあるのですね。

ちかさん:そうですね。もちろん、今の商品も多くの方に飲んでいただける形として大切なものです。ただ、「源流」という名前を掲げている以上、みなかみの水をどう生かすかは、やはり目指していきたいところです。

空水:RTDになったことで、取り扱ってくださるお店は増えましたか。

ハヤトさん:増えました。シロップの瓶は、基本的にはお土産として置いていただくことが多いです。一方で、RTDはそのまま飲めるので、お土産としてだけでなく、飲食店さんやホテルさんでも扱っていただきやすくなりました。

空水:お店側としても、シロップを炭酸水で割る手間がなくなるわけですね。

ハヤトさん:そうですね。オペレーションの関係で、ドリンクをその場で割って提供するのが少し手間に感じられるお店もあります。そういうところでは、RTDの方が扱いやすいです。実際に、RTDだけを入れてくださっているお店もあります。

ちかさん:冷やしてそのまま出せるので、お店の方にとっても使いやすいのだと思います。グラスに注いで提供する場合もありますし、ボトルのまま出す形もあると思います。

空水:売り場で見た時も、シロップとは違う印象がありますね。道の駅でも、シロップは売店に、RTDは冷蔵庫に並んでいました。

ハヤトさん:そうですね。RTDは冷蔵庫に入るので、目に入りやすい面もあると思います。ただ一方で、ボトリングを外部にお願いしているので、製造者表示を見ると「これはどこの商品なんだろう」と思われることもあるようです。

空水:販売元はみなかみでも、製造が県外になるためですね。

ハヤトさん:はい。そこはやはり課題だと感じています。より多くの方に飲んでいただきたいと思ってRTDを出した一方で、みなかみで作っている商品だと伝わりにくい部分もある。そういう声を聞くと、やはり「みなかみの水で作る」というところが、源流コーラの一つのゴールなのだと感じます。

空水:RTD化によって販路は広がったけれど、同時に「源流コーラらしさ」をどう伝えるかという課題も見えてきたわけですね。

ハヤトさん:そうですね。飲みやすく、手に取りやすくなったことは大きいです。ただ、源流コーラは単に飲みやすい炭酸飲料を作りたいというだけではなくて、みなかみの良さを形にしたいという思いから始まっています。だからこそ、今後はもっとその土地らしさを伝えられる形にしていきたいです。

ちかさん:地元に密着しながら、ブランドの方向性も考えていければと思っています。りんごのことも、もっと深く知っていきたいですし、みなかみには他にもいろいろな作物や素材があります。そうしたものが、今後の商品づくりの種になっていくかもしれません。

10、グラスで提供されている源流クラフトコーラ
グラスで提供されている源流クラフトコーラ

空水:今後、源流コーラ以外の商品も考えているのでしょうか。

ハヤトさん:そうですね。源流コーラを続けていくことがまず大前提ですが、それだけで終わるつもりではありません。もともと「みなかみクラフト」という名前には、コーラだけではなく、みなかみの良さを形にしていきたいという思いがあります。

空水:前にお話を伺った時も、コーラを作った後のスパイスを活用できないか、という話がありましたよね。

ハヤトさん:はい。コーラを煮出した後のスパイスにも、まだ香りがかなり残っているんです。りんごの香りも加わっていて、そのまま捨ててしまうのはもったいないなと感じています。クッキーのようなお菓子に使うのか、別の形にするのかはまだ考えているところですが、何かしら活用していきたいですね。

ちかさん:すでに少し試しているものもあります。まだ大きく展開できる段階ではありませんが、今後、みなかみのお土産として楽しんでもらえるようなものにできたらいいなと思っています。

空水:源流コーラの副産物から、また別のお土産が生まれるかもしれないということですね。

ハヤトさん:そうですね。スパイスも決して安いものではありませんし、香りも残っています。せっかくなら最後までおいしい形で使いたいです。

11、カフェレストラン亜詩麻さん名物名物「焼きカレー」と一緒に
カフェレストラン亜詩麻さん名物名物「焼きカレー」と一緒に

空水:新しいフレーバーや、別の飲み物のような展開も考えていますか。

ちかさん:まだ具体的に出せるものではないのですが、アイデアはいろいろあります。みなかみにはりんご以外にも魅力的な素材がありますし、季節に合わせたものも考えられると思っています。

ハヤトさん:たとえば冬場は、冷たい炭酸飲料だけではどうしても動きづらい部分があります。ホットで楽しめるものや、コーラとは少し違う温かいドリンクのようなものも、可能性としては考えています。

空水:確かに、みなかみは冬の印象も強い場所ですし、季節によって求められる飲み物も変わりそうです。

ハヤトさん:そうですね。夏はコーラの季節という感じがありますが、冬には冬の楽しみ方があります。そういったところも含めて、みなかみらしい商品を作っていけたらと思っています。

空水:今後、より地元に関わっていきたいという思いもあるのでしょうか。

ハヤトさん:あります。自分は高校卒業まではみなかみで暮らしていましたが、その後は一度離れていますし、みなかみで仕事をするという経験はまだこれからの部分もあります。だからこそ、今どういうものが求められているのか、どういうお客さんが来ているのか、もっと知っていきたいです。

空水:りんご農家さんとの関わりも、その一つになりそうですね。

ハヤトさん:はい。今回、りんご農家さんには本当に良くしていただいています。今後、そちらのお手伝いなどもできれば、恩返しにもなりますし、自分たち自身がりんごのことをもっと深く知ることにもつながると思っています。

ちかさん:地元に密着していくことで、ブランドの方向性もよりはっきりしていくのかなと思っています。りんご以外にも、みなかみにはいろいろな果物や作物があります。そうしたものを知ることが、次の商品づくりの種になるかもしれません。

空水:源流コーラは、単に商品を増やしていくというより、みなかみを知りながら、その土地の素材や人との関係の中で育っていくブランドなのですね。

ハヤトさん:そうできたらいいなと思っています。まだまだ途中ではありますが、源流コーラを入口にして、みなかみの魅力を少しずつ形にしていきたいです。

* * *

13、シロップとRTD

前編では、一ノ倉沢の風景を通じて、源流コーラがどのように水上という土地と結びついているのかを見てきました。

後編で話を伺うと、その一本はすでに次の段階へ進んでいました。シロップとして生まれた源流コーラは、RTDという形でより手に取りやすくなり、道の駅やカフェ、宿泊施設など、みなかみのさまざまな場所へ広がり始めています。

一方で、ハヤトさんとちかさんの言葉からは、単に販路を広げたいというだけではない思いも感じられました。みなかみの水で作ること。りんごをもっと深く知ること。煮出したスパイスを無駄にせず、新しいお土産へつなげること。そして、コーラに限らず、みなかみの良さを形にすること。

源流コーラは、まだ完成形にたどり着いた商品ではないのかもしれません。むしろ、みなかみという土地に根を下ろしながら、これから少しずつ形を変え、広がっていく途中のクラフトコーラなのだと思います。

水上を何度も訪れてきた私にとって、今回の取材は、ひとつの商品を知る旅であると同時に、この町をもう一度見直す旅でもありました。谷川岳の岩壁、湯檜曽川の流れ、温泉街のお土産屋さん、道の駅の売り場、そしてカフェのテーブルに置かれた一杯のコーラ。

そのどれもが、源流コーラという名前の中で静かにつながっていました。

みなかみに訪れた際は、ぜひこの土地の風景とともに、源流コーラを味わってみてください。

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